司法書士試験の最終合格発表は毎年11月の上旬です。合格後には、日本司法書士会連合会による新人研修を受けることができます。対象となるのは、今後1年以内に司法書士として登録予定の人です。この研修で司法書士として実務をするための知識を学びます。
合格後の新人研修は、日本司法書士会連合会の会則に基づき、新たに司法書士となる方が「職責と社会的使命を自覚するとともに、法律に関する理論と実務を身につける」ことを目的として行われるもので、司法書士として仕事をするために、試験勉強では得ることができない、多様で実践的な知識を習得することができます。
新人研修は、中央研修・ブロック研修・司法書士会(単位会)研修の3つの日程に分けて行われます。研修の中には、配属研修もあり、実際の先輩の司法書士事務所で実務を学ぶ研修も行われます。
中央研修は、関東と関西の2会場で行われ、裁判事務・簡易裁判所の訴訟代理権を踏まえたものがほとんどです。研修の内容は、講義をただ聴くだけではなく、事案となる課題が出され、その訴状を作ったり、ディスカッションを行うなど実践的な内容です。
ブロック研修は、全国を7つの地域に分けて行われ、主に司法書士の中心業務である登記業務について学びます。ここでは、受験勉強では得られない、実務を行う上で必要な事柄について、豊富な資料を用いた講義が行われます。その他登記業務以外にも、成年後見制度、家事事件、多重債務者問題等についての講義もあります。
司法書士会研修は、全国50の司法書士会ごとに行われます。単位会によって研修内容は異なりますが、集合研修だけではなく、配属研修という先輩の司法書士事務所で実務を学ぶ研修も行われます。実際に仕事をしながら、司法書士業務の実務を学ぶことができます。
そして、司法書士登録と司法書士会への入会を終えると、いよいよ司法書士として独立開業したり、司法書士事務所で働くことになります。また、司法書士は独立指向が強い資格ですが、司法書士登録をせずに、有資格者として企業に就職するという進路もあります。司法書士はその難易度から、企業への就職や企業内での評価においても、非常に強いアピール力を持っています。不動産業界以外でも、銀行・保険などの金融業界や、一般企業の法務部でも法律の専門家として、高い評価を獲得できる資格です。最近は、企業合併・企業買収やコンプライアンスなど、企業を取り巻く問題を総務部・法務部の一般社員のみで解決するのが難しくなってきており、司法書士を社員として雇用する企業も多くなっています。業務内容は、企業によって違いますが、例えば契約書のチェックや所有不動産の管理、裁判所に提出する書類の作成などがあります。
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